禁煙7日目。「1本吸う?」
僕が禁煙していると知った友人が、言ってきた。
「つらいでしょ。1本吸う?」
お前、心の中でいま俺に血みどろにされたからな。
JTの刺客は人の姿として、僕らの前に現れることもある。
僕らが禁煙していることを知って、煙草を勧めてくる人たちは、なにも善意で勧めてくるわけじゃない。
彼らには、目的がある。
悪いけど、彼らの行為は、善意じゃない。
そんなトラップに引っかからないぜ、JTの刺客たちめ。
それにしても、一週間。
よく頑張った自分。
ウォリアータイプ、力任せの白兵戦を挑んでくる禁断症状はだいぶ治まった。いまの戦いのメインは「1本吸っても大丈夫かな?」と禁煙の定義や目的を一瞬で混乱させるウィザードタイプの刺客との戦いだ。
でももう、いままでの僕じゃない。
どんな相手だかわからないまま、闇雲に素手で戦っていた自分じゃない。
いまや僕の刀の切っ先は鋭く、弓の照準は精密だ。
そして相手は白昼の元に丸裸だ。
この決戦、今夜、一週間の山場を超える。