禁煙5日目。刺客の種類。
四日目の夜はやばかった。
気を抜いてた。
背中から袈裟懸けに着られるところだった。
禁煙の戦いをしていると、僕はいつもジレンマに陥る。
- はやく煙草のことを忘れて平穏な時間を過ごしたい。
- でも平穏にしていると、突然の喫煙衝動に負けてしまう。
JTの刺客がやってこないか、いつも神経を研ぎ澄ませているのは疲れる。休みなく警戒しつづけることなんて、誰にもできないからだ。だから、喫煙衝動の波がおさまると、自分でも警戒を解いてちょっとした休息をいれてしまう。
でもJTの刺客は、その休息を狙って隠密行動で近寄ってくる。僕は気を抜いているものだから、背後の気配にも気がつかない。そのときが、実はもっとも危険だ。
そう、JTの刺客には種類がある。
大きく分けて3つ。今日はこれを覚えて帰ってください。
ウォリアー(戦士)型:禁煙後3日間に現れるニコチンの初期禁断症状
圧倒的多数によるむちゃくちゃな波状攻撃で、僕らに絶望的な戦いをしいる。ひたすら「吸いたい」という思いと戦うことになる。
ウィザード型:禁煙後3週間に現れるニコチンの後期禁断症状
呪文によって僕らから正常な思考を奪い混乱させる。「禁煙中だけど今日だけは1本吸ってもいいよね?」とか辻褄の合わないことを考え出すのはこの呪文のせい。
アサシン型:禁煙後3ヶ月間に現れる習慣性の喫煙衝動
隠密行動で一瞬で僕らの寝首をかく。いわゆる「禁断症状」ではないから、衝動が接近していることに気がつかない。警戒していないと一発でヤられる。
実は、僕の禁煙のほとんどはこの「アサシン型」によって失敗してきた。
たいていの場合、隠密行動をとって近寄ってくるアサシン型は、パワーは弱い。もし気がついたなら、いとも簡単に返り討ちにできる程度の小者だ。
でもそれは、こっちが気がついた時だけだ。アサシンは、パワーは弱くてもスピードがある。こっちが構える前に一瞬で斬り殺されてしまう。ウォリアー型やウィザード型の姿が消えても、アサシンは虎視眈々とこちらを狙っている。
昨日は4日目にもかかわらず、アサシンがやって来た。ただでさえ警戒していたから事なきを得たけれど、禁断症状が治まったあとはこいつらとの戦いがメインになる。そして僕はそれに負け続けている。
でも、今回こそは勝つ。勝てる見込みがある。なぜなら、これまではそれがJTの刺客だと気がつかなかったからだ。でも、いまの僕の目は彼らをしっかりと捉えている。
負けねぇぞ、JTの刺客。